「大衆に媚びてる。」とか、「甘ったるいBGM。」とか、サンザンな言われようじゃ。  だけど、そうかな?  少なくとも、俺ら世代のロック・ファンにとっては、この時期のハービーってイカしてると思えたけど…。そうそう、あの布袋寅泰氏もそう言っていたよ。  						  もともと、フュージョンってのは、マイルス親分が提唱し始めたのだ。  1970年前後のマイルスは、かなりロックに近いところにいた。それまでの、ジャズの主流であるバップ(注1)から抜け出して、モード(注2)を取り入れはじめていたのだ。その結果、ロックだけでなくファンクやインド音楽なんかをジャズに融合して、フュージョンとよばれるカテゴリーが生まれたわけだ。  						  マイルス門下生では、ジョー・ザビヌルがウェザー・リポートを、チック・コリアがリターントゥフォーエバーを、ジョンマクラフリンがマハビシュヌオーケストラを、それぞれ結成した。  						  ハービーも、自身のルーツであるソウルやファンクに、ラテンなんかをフュージョンさせて、独自のインストを演奏し始めた。ただ、ハービーの作品は、他の連中に比べると、かなりポップで聴きやすいのだ。良質のBGMとしてもOKの、万人受けする内容なのだ。それって、いけないことなのかなぁ?そこらが、「大衆に媚びてる。」とか、「甘ったるいBGM。」とか言われる所以らしい。  					      |