名盤、『エイント・ザット・ア・ビッチ』(1976年発表)のカヴァー・アートを見たことある?2人のオネイチャンが、「もう、ダメ…。」とばかりに色っぽくダウンしている後ろで、白いスーツにテンガロン・ハットをきめた、ジョニーがソファーに腰かけている。彼が自慢げに指し示す手の先に、ビッ!と背筋をのばしたワン公が…。大人のみなさんは、このワン公がなにを象徴しているか、すぐにわかるよね?(笑) こんなに、下品で猥雑なポーズをキメられるってのは、ひとつの才能なんだよ! 才能といえば、ジョニーはこれ以降のアルバムで、ドラムとホーンセクション以外すべてのパートを、ひとりで演奏している。“下品で猥雑なマルチ・プレーヤー”と言われると、誰かの顔が思い浮かんでこない? そう、紫の王子こと、プリンス! 変な表現だけど、ジョニーは“70年代のプリンス”なんだよ。 70年代のジョニー・“ギター”・ワトスン(とくに、DJMレーベル時代の6枚)は、ブルースにとらわれずに、ファンクやソウルを積極的に取り入れながら、ブラックミュージックの最新形を提示した。で、そいつがポップで、ものスゴク聴きやすいんだよ。ブラック・ミュージックの入門編であり、集大成である。そんな感じかな?この手法から、プリンスが連想されるんだ。実際プリンスは、かなりジョニーから影響を受けているハズだ。 ただし、音のイメージは、あくまでもクール。投げやりな歌い方と、ペケペケしたギターは彼のトレードマークだ。実は、これが、“テキサン”の伝統的な演奏スタイルなんだけど、モダンで都会的なアレンジと、よくマッチしているんだよね。 |