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  神格化しない、ブラック・ミュージック(第3回)  
メイズ

 もしも、デビューが5年早いか、または5年遅かったら…。メイズは間違いなく、ビッグネームになっていただろう。
 1977年という、ブラック・ミュージックにおける空白地帯のような時期にデビューしたため、彼等はマニアックなファンの間でのみ話題になる、“知る人ぞ知る”存在になってしまったのだ。その、洗練されたサウンドとポップな楽曲群は、マニアだけのものにしておくには、あまりにももったいない。
 メイズは、もっと多くの音楽ファンに知ってもらいたいグループのNo1である。

 中心人物は、フランキー・ビヴァリー(Frankie Beverly)。ヴォーカルとリズム・ギターを担当し、ほとんどの曲を手がける。
 彼を中心として、70年代中頃からサン・フランシスコを中心に活動をしていたメンバーが、メイズを結成したのは1976年。翌、1977年にキャピトルから、デビュー・アルバムを発表している。
 キャピトルには1989年まで在籍し、9枚のアルバムと2枚のベスト・アルバムを残している。
 その後、ワーナー・ブラザースに移籍。1993年にニュー・アルバムを発表。キャピトル時代のアルバムも、ワーナー・ブラザースからリイッシューされている。

 

 

 

 

 
   
歌う!フランキー・ビヴァリー
 

 おススメは、3rdアルバム「Inspiration」、4thアルバム「Joy and pain」、5枚目にあたる、初のライヴ・アルバム「Live in New Orleans」。
 特に、ライヴ・バンドとして定評のあったグループなので、「Live in New Orleans」はイチオシ!ライヴ全体が、ひとつのショウとしてパッケージされているので、非常に完成度が高い。その上、ベストアルバム的な選曲をしているので、捨て曲が一曲もないのだ。
 
 メイズのサウンドは非常にクールだ。それは、他のブラック・ミュージックのグループと違って、ホーン・セクションを擁していないことが、大きく作用しているようだ。
 1980年代に入ると、プリンスやマイケル・ジャクソンが、ホーン・セクションなしでブレイクするが、70年代からすでにこういう音を出していたんだから、時代を先取りしていたといえるだろう。

 ホーンの代わりに、シンセサイザーを多用するが、そのトーンは限りなくスペイシー。長岡秀星氏によるジャケット・アートとあいまって、よりいっそうブラック・ミュージックらしからぬ印象を増幅する。

 長岡秀星氏は、後期のアース・ウインド&ファイヤーのジャケット・アートを手がけたことで有名だが、ファルセットを効果的に使った、フランキーのナイーヴな唱法もモーリス・ホワイトをほうふつとさせる。
 アース・ウインド&ファイヤーをソフトにして、都会的に洗練させたらメイズになる、といったら乱暴過ぎるだろうか?
 今回は、メンバーの相関図と、オリジナル・アルバムの一覧を作ってみた。
 これをきっかけに、より多くの人がメイズに関心を持ってくれたら、ありがたいことだ。

 

 

 
  MAZE FAMILY TREE  
ORIGINAL ALBUM LIST  
「Maze」(1977年)MAZE#1
「Golden Time of Day」(1978年) MAZE#1
「Inspiration」(1979年)MAZE#2
「Joy and Pain」(1980年)MAZE#3
「Live in New Orleans」(1981年)MAZE#4
「We are one」(1982年)MAZE#4
「Can't Stop the Love」(1985年)MAZE#5
「Live in Los Angeles」(1986年)MAZE#6
「Silky Soul」(1989年)MAZE#7
「Back to Basics」(1993年)
MAZE#8
       
       
  画像提供:Karen Williams