web-magazine GYAN GYAN
 
  カバーアートは、ゲージュツだ!(第4回)  

 コンパクトなCDサイズになってしまった最近では、想像できないことかもしれませんが、カバーアートのインパクトが強かった、30cm×30cmサイズのLPレコードの時代には、レジへ持って行くことがためらわれるアルバム、というものが存在しておりました。しかし、そのようなアルバムにかぎって“名盤”である場合が多く、思春期のロック少年たちを悩ませたものです。
 レコード店のレジが、若くてキレイなお姉さんだったりすると、もう最悪です。「やっぱ、今度にし~よう~。」と、それまでの固い意志が砂のお城のように崩れ去ってしまいます。そしてウチに帰ると、「あぁ、なんて俺は情けないんだ。」と反省することしきり…。こんな経験をお持ちの方は、きっと大勢いらっしゃることでしょう。
 というわけで今回は、私がローティーンの頃、レジへ持って行くのが恥ずかしかったアルバムの、ベスト3を紹介します。

 

 

 

 『カントリー・ライフ/ロキシー・ミュージック』
 これ、LPサイズでは、かなりの迫力でした。まるで、男性雑誌のグラビア!
 今では信じられないことですが、右側の女性のアンダーヘアが透けているのではないか?と問題になりました。で、国内盤では軽く修正を施したということなんですが、グラデーションでもかけたのかしら?(その作業を想像すると、かなり笑えますなぁ~。)
 当時の日本は、アンダーヘアにはたいへんウルサくて、ちょっとでもチラつこうものならエライ騒ぎになりました。このアルバムの場合、直輸入盤は修正されていない、とウワサされたため、国内盤よりも輸入盤の方がよく売れたようです。(笑)
 カンジンの“音”に関してですが、これは文句なく、中期ロキシー・ミュージックの代表作といえるでしょう。初期のアヴァンギャルドさが薄れ、後期の洗練されたポップ路線へ移行する、たいへん重要な時期の作品です。次作『サイレン』では、かなりポップ性が強くなってしまいますが、『カントリー・ライフ』の段階では、まだいくぶん耽美的な妖しさが残っており、それがこの作品全体を支配している、独特の美しさを演出しております。カバーアートの雰囲気は、そんな内容を的確に表わしているといえるでしょう。
 後になって、右側の女性は性転換した男性である、というウワサが流れましたが、これについての真偽のほどは定かではありません。(笑)そういえば、異常に肩幅が広い?

 

 

 

 

 『ヴァージン・キラー/スコーピオンズ』
 スコーピオンズのアルバムのカヴァーアートは、何かと物議をかもすことが多いのですが、これはかなり強烈でした。なにしろ、このタイトルで、この写真ですから!
 この種の写真は、ヨーロッパやアメリカのように、クリスチャンが多い国ではまずご法度だそうで、発売直後にデザイン変更を余儀なくされました。(CD化された現在でも、欧米盤は別のカバーアート)ところが、アンダーヘアにはウルサイくせに、チャイルドポルノにはおおらかな我が国(これ皮肉!)では特に問題視されず、そのまま発売されておりました。おかげで、海外のロックファンが、日本のお土産にこのアルバムを買い求めたそうで、こちらは『カントリー・ライフ』とは反対に、日本国内盤がよく売れたようです。(ホントかい?)
 “音”のほうは、これまたウルリッヒ・ロス在籍時のピークと言える内容で、物凄いヴォルテージのサウンドがリスナーに襲いかかってきます。これを聴いて、ショックを受けないハードロック・ファンはまずいないでしょう。私はロリコンではないので、このような写真を見てもトキメキませんが、レジへ持って行くのが恥ずかしかったことではダントツNo1です。
 ちなみに、タイトル曲の「ヴァージン・キラー」ですが、歌詞もかなりキテおりまして、一度ジックリ拝見されることをおススメいたします。なんてったって、「ディッ、ザイッアー!(絶叫!)」ですから。(笑)

 

 

 

 
   

 『エレクトリック・レディ・ランド/ジミ・ヘンドリックス』
 このカバーアート、ジミは非常に嫌がってボツにしたらしいんですけど、なぜか出回ってしまったといういわく付きのシロモノです。LP時代には、紫色の煙をバックにしたジミのポートレイトのカバーアートが一般的だったのですが、どうもCD化された現在のカバーアートが正式なもののようです。でも、本人の確認がとれない今となっては、真偽のほどはわかりません。
 ところがある時期、このカバーアートがオリジナルであるとされて、鳴り物入りで再発されたことがあったのです。おかげで私は、こちらのカヴァーアートの『エレクトリック・レディ・ランド』を入手してしまいました。(ちなみに、“紫色の煙をバックにしたジミのポートレイト”は、見開きの中ジャケットにありました。この写真はカッコイイんだよね。)
 このカバーアートを一言で表現すると、“質より量”。(笑)
 そのへんにいるオネイチャンやオバチャンを、裸にしてならべたって感じです。まぁ、雰囲気的には、60年代末期あたりの“ラヴ&ピース”って感じではありますが、少なくともこれを見てエロティックな気分にはならないですよね。むしろ迫力に圧倒されそう。(笑)ちなみにこれも、どの人か忘れたけど、アンダーヘアが見えているとかで、修正が入ったらしいです。本当に、我が国はアンダーヘアにはうるさかったのです。
 “音”については、もう説明不要でしょう。というか、こういうコーナーではないところで紹介しなければ、ジミに対して失礼というものです。(笑)
 私は、このカバーアートがオリジナルであるというので、それこそ“決死の思い”で購入したというのに、今更「それは違う」と言われましてもねぇ…。困ったもんです。

 

 

 

  ↑写真が小さいので迫力がイマイチ伝わらないでしょう。すいましぇ~ん。(笑)
見開きの裏面もビッシリなんですよ!

 

 
 

 まぁ、セクシー・カバーアートもLPサイズでないと、イマイチ説得力(なんの?)に欠けることは事実ですね。CDサイズでは迫力がないから、なんの抵抗もなくレジへ持っていけるでしょう。今の中学生や高校生は恵まれております。
 CDになってからは、あまりセクシー・カバーアートが話題にならなくなったような気がしますが、1枚モノスゴイのを見つけてしまいました。

ナッシュビル・プッシー(スッゴイ名前!)ってグループの、
『レット・ゼム・イート・プッシー』(なんちゅータイトルじゃ~!)というアルバムです。これ、LPサイズだったら、恥ずかしいだろうなぁ…。この、後頭部だけの男2人は、なにしてるんでしょうねぇ?よい子は、けっしてマネをしないでください。(笑)

 突如、アート路線から踏みはずしたこの企画ですが、好評だったらまたやります。リクエストお待ちしてま~す!(???)

 

 

 

   
  ↑“音”のほうは、テッド・ニュージェントやAC/DCをほうふつとさせる、ハードブギー中心だそうです。
ちなみに、ジャケットに写っている2人のオネイチャンはメンバーだそうで、いちおう2組の夫婦によるバンドだそうだ。きっと、凄まじい夫婦生活なのであろう。(想像するなって?(笑)
このページの画像は、クレームがついたら削除します。まぁ、個人のHPなので、大目に見てやってください。カバー・アートの話しは、非常に興味深いのですが、規制があり過ぎて厄介です。それでも、メゲずに続けます。