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だまって、コイツを聴いてくれ!(第3回) | |
「ウィッシュボーン・アッシュ/百眼の巨人アーガス」 WISHBONE ASH/ARGUS | |
| CD/MCAD10234 1972年 このCDは、2001年9月に、日本盤が再発されます。 | | |
1.TIME WAS | |
2.SOMETIME WORLD | |
3.BLOWIN' FREE | |
4.THE KING WILL COME | |
5.LEAF AND STREAM | |
6.WARRIOR | |
7.THROW DOWN THE SWORD | |
| (BONUS TRACK 8.NO EASY ROAD) | |
バンドにギタリストが2人いたら、どんなアレンジをする? 1人がリズムギターに徹し、もう1人にリードギターを任せる。1人は、スライド専門のギタリストとする。同じフレーズを、2人でハモる。ちょっと高度に、ノリの違う2人にシンクロさせ、ポリリズムを生み出す…。 バンドの音が、格段にカラフルになることは、誰にでもわかる。 しかし、当のギタリスト側からすると、プレイに制約が与えられた感じになるものだ。相手のことを考えなければならないので、好き放題にギターを弾くわけにはいかない。もう1人のギタリストが、なんとなくうっとおしく、邪魔な存在に思える時がある…。 キーボード・プレイヤーと組む場合とは、明らかに違う状況が展開されるのだ。 「ハモりのフレーズを打ち合わせても、ステージでのジェフ(ベック)はその通りにプレイをしたことがなかった。」とボヤいたのは、ヤードバーズ時代のジミー・ペイジ。 「スコット(ゴーハム)のヤツ、俺よりもギターがヘタなくせに、ひとりで女にモテやがって!」信じられないことだが、ゲイリー・ムーアがシン・リジイを脱退した理由のひとつだ。 こうしてみると、ウィッシュボーン・アッシュの2人のギタリスト、アンディ・パウエルとテッド・ターナーのコンビネーションは、奇跡の存在といえるのではないだろうか? 『百眼の巨人アーガス』における彼等は、お互いのプレイを抑制することなく、自由奔放にギターを弾いている。心地よいリズムギターの応酬、交替でソロを弾く、ハモりをキメる…。そして究極は、お互いが違う展開のギターソロを同時進行させる、という前代未聞のプレイだ。 | | | |
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↑1971年頃のライヴから。 左:アンディ・パウエル、右:テッド・ターナー。 | |
↓左から アンディ・パウエル(G&Vo)、マーティン・ターナー(B&Vo)、 スティーヴ・アプトン(Ds)、テッド・ターナー(G&Vo)。 | |
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| | | 柔和な感じがする、アンディ・パウエルは、ギブソン・フライングVがトレードマークだ。一方のテッド・ターナーは、いかにも“ロック・ギタリスト”という風貌で、フェンダー・ストラトキャスターをかまえる。 ルックスとギターの好みから予想される、2人のプレイは、ライナーノーツによって見事に否定されてしまう。ライナーノーツには、それぞれがソロをとる曲名と場所が明記されているのだ。 実は、テッドが“泣き”のフレーズ専門なのである。 そして俺は、この一見華やかな風貌に繊細な影をたたえた、テッド・ターナーが大好きだ。 “泣き”といっても、ウィッシュボーン・アッシュのそれは、ブルースよりもブリティッシュ・トラッドからの影響を強く感じさせる。それは、「ザ・キング・ウィル・カム」や「戦士(WARRIOR)」といった、ハードな曲のメロディー・ラインにも顕著に表れている。 「タイム・ワズ」のイントロ部分や「リーフ・アンド・ストリーム」で聴ける、限りなく透明感あふれる音は、ギター2本の響きからしか生まれてこないものだ。目をつぶると、森や小川といった静寂な景色が拡がってくる。 「サムタイム・ワールド」は、そんな彼等の持ち味が120%生かされた傑作である。ここでは、静と動の見事なバランスを堪能することができる。 そして、アルバムラストに収録されている、「剣を棄てろ(THROW DOWN THE SWORD)」。この曲の後半で、史上もっとも美しいツイン・リードギターを聴くことができる。 2人のギタリストは自由奔放に、それぞれのギターソロを構築している。しかし、それは決して混乱したものにはならず、見事な調和を生み出している。お互いのプレイを理解し、尊重し合わなければできない芸当である。文字にしてしまうと、簡単そうに感じられるかもしれないが、実現するのは非常に困難である。それゆえに、ウィッシュボーン・アッシュは、“ツイン・リードギターのパイオニア”と呼ばれるのだ。彼等の前にも後にも、このようなバンドは存在していない。ツイン・リードとは、本来このようなプレイを指すのだ。 ウィッシュボーン・アッシュの成功に刺激されて、この後2人のギタリストを擁するバンドが星の数ほど出現した。しかし俺は、『百眼の巨人アーガス』を超える作品に、今だかつて出会ったことがない。 バンドにギタリストが2人いたら、どんなアレンジをする? 『百眼の巨人アーガス』は、この問いに対する回答をすべて詰め込んだ、究極の1枚といえるだろう! | |
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↑これが、“ウワサ”のテッド・ターナー。 カッコイイでしょ? | |
↓同じく、スティール・ギターを弾く、テッド。 | |
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↑ウィッシュボーン・アッシュは、現在も活動を続けている。 ただ一人、オリジナル・メンバーとして在籍しているのが、アンディ・パウエル。 K-1にでも出てきそうなルックスになってしまった。(笑) | | | |
PS:ここから下の画像は、イギリスのウィッシュボーン・アッシュ・ファンクラブからプレゼントされた、彼等の最新の姿。(2001年3月) 雑誌やwebでは未発表の、貴重な画像ばかりなのだ。Thanks!Leon. | | |
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↑かなり小さなライヴ・ハウスのようだ。 | |
↓Benって、極楽とんぼの加藤に似てない?(笑)。 | |
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↑現在のアンディの相棒は、Ben Granfelt。 | |
↓左から、Bob Skeat(B)、Ben Granfelt(G)、 アンディ・パウエル、Ray Weston(Ds) | |
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| 画像提供:Leon | |
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