| |
| だまって、コイツを聴いてくれ!(第4回) | | |
ピーター・フランプトン/フランプトン・カムズ・アライヴ! PETER FRAMPTON/FRAMPTON COMES ALIVE! | | |
(DISC1) 1.SOMETHING'S HAPPENING 2.DOOBIE WAH 3.SHOW ME THE WAY 4.IT'S A PLAIN SHAME 5.ALL I WANT TO BE(IS BY YOUR SIDE) 6.WIND OF CHANGE 7.BABY, I LOVE YOUR WAY 8.I WANNA GO TO THE SUN | | (DISC2) 1.PENNY FOR YOUR THOUGHTS 2.(I'LL GIVE YOU)MONEY 3.SHINE ON 4.JUMPING JACK FLASH 5.LINES ON MY FACE 6.DO YOU FEEL LIKE WE DO CD/POCM-1856/7 1976年 | | |
| | | |
“アイドル”であることの苦悩。 ピーター・フランプトンの葛藤は1966年9月、ザ・ハード(THE HERD)を結成した時点ですでに始まっていた。新しいアイドル・スターの出現に大騒ぎするマスコミに対し、彼は純粋にミュージシャンとしての評価を求めたのである。しかし、その願いは届かなかった。 我々などには想像もつかないことであるが、ルックスが良過ぎることが、評価の妨げになり、当人をジレンマに陥れることがあるようだ。「モテ過ぎて、真剣に悩んだらしい。」などと、簡単に片付けられるようなシロモノではなかったのだろう。 ピーターと同様、子役アイドルとして人気のあった、元スモール・フェイセズのスティーヴ・マリオットと、ハンブル・パイ(HUMBLE PIE)を結成したのは1969年3月のこと。所属レーベルの倒産等、数々の困難を乗り切って、バンドが評価され始めたのは、5枚目の『パフォーマンス~ロッキン・イン・ザ・フィルモア』(1971年)からだ。しかし、ピーターはこのアルバムを最後に、ハンブル・パイを脱退している。皮肉にも、ハンブル・パイが爆発的な人気を得るのは、デイヴ・“クレム”・クレムスンが参加してからのことである。 ブラック・ミュージックを根底に、ヘヴィーなロックを展開しようとするスティーヴに対し、アコースティックでポップな路線を主張したピーターが対立したと言われている。初期のハンブル・パイのアルバムは、ピーターがイニシアティヴを取っていたために、売れなかったとも言われている。いずれにしても、自分の主張を貫くために、登り坂にあるバンドから脱退してしまうのだから、ピーター・フランプトンという人は、ルックスとは裏腹に、頑固な職人気質を持っているミュージシャンなのだ。 脱退後、ソロ・アルバムを4枚発表。それと平行してライヴ活動を地道に続けた結果、『フランプトン・カムズ・アライヴ!』が大ブレイクする。 | | |
| | |
↑「ミュージック・ライフ」はかなり早い時期から、ピーター・フランプトンのスター性 に注目してきた。1968年7月号で、早くも表紙を飾っている。 | |
| | |
| 全米だけで800万、全世界で1,200万セットも売れた。それまでキャロル・キングの超ベスト・セラー『つづれおり』が持っていた記録を、わずか8ヶ月(キャロルは5年かかっている。)で更新してしまった。2枚組であることを考えると、いかに驚異的な大ベスト・セラーであるかわかるだろう。 ハードな曲でもソフトな曲でも、ピーター・フランプトン特有のポップなメロディがいっぱいだ。大ヒットした「ショー・ミー・ザ・ウェイ」。最近、リバイバル・ヒットした「君を求めて(Baby, I love your way)」などは典型的なフランプトン節といえよう。そして、「君を求めて(Baby, I love your way)」が収録されている、LP時代の1枚目のB面(CDではDISC-1の5~8)こそが、彼がハンブル・パイ時代から強く主張していた、アコースティック・サウンドのサイドである。 俺は、このアルバムを聴いて、初めてmaj7(メイジャー・セヴンス)というコードの威力を知った。そして、通常のメジャー・スケールを、ロックの楽曲に導入する方法を学んだ。意外に、キチンと組み立てられた曲が多いのである。この点、間違いなく、ピーター・フランプトンは音楽理論を把握している。本能まかせの無教養ギタリストではないのだ。彼が、いかに地道な努力を重ねてきたのかがよくわかる。と同時に、音楽的に評価してほしかったかという気持ちが、痛いほどよくわかるのだ。 前述のように、『フランプトン・カムズ・アライヴ!』は怪物的な大ヒットを記録してしまった。そのおかげで、これ以降のピーター・フランプトンは、このアルバムの呪縛に悩まさることになる。発表から25年が経過した今になっても、彼はまだこのアルバムから解放されていない。せっかく掴んだ栄光が、ずっと足枷になって存在しているのだ。 人生とは数奇なものである。 | | |
↑↓「ミュージック・ライフ」誌に掲載された記事の数々。 これだけイイ顔してたら、なんでもできるよねぇ?(…少し、ヒガんでる。(笑) | |
| | | |
| | 資料提供:夏川翠さん | | |
| | | | | | | | | | | | | | | | |