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第4話「完成した瞬間、バンドは崩壊へ向かった」 | |
2005年は、昨年末の『曼陀羅2』の余韻を引きずるような形で始まった。 あの夜の音を再現したい…、俺の関心はその一点に凝縮されていた。 例によって、 年の前半はライブをやらず、新曲のリハーサルを繰り返して過ごした。 そして、昨年参加したライブイベント、『CARNIVAL』の時期がやって来た。
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date: 2005.7.31(土) place:「船橋宮本公民館」 1, HELTER SKELTER (THE BEATLES) 2, 黒猫(オリジナル) 3, I'VE GOT THE FEVER(オリジナル) 4, ACROSS THE UNIVERSE (THE BEATLES) 5, SACRIFICE(オリジナル) 6, SATIN DOLL(オリジナル) | | この日のセットは、2004.12.4(土)「曼陀羅2」とまったく同じである。 まさに、“あの音をもう一度”という思いで臨んだステージであった、 が、しかし…、 結果的には、 「曼陀羅2」のセットをなぞったような音で終わってしまった…。 何度もこのセットでリハーサルをしたのがよくなかったのか、よく言えばたいへんこなれた演奏、悪く言えば緊迫感のない平均的な演奏…。前回のような、得体の知れない悪意や孤立感を、音からほとばしらせることはできなかった。 俺は、演奏以上に、そこへ至るまでの集中力を高める状況が重要であることを痛感した。 | |
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そして俺達は、とにかくライブの数をこなそうと、年の後半に3発のライブを計画した。 まず、1発目の「新宿MARZ」。 これは、中央大学軽音楽同好会OB会のイベントであった。OB会では、毎年開催されている『忘年会』の他に、数年に一度の間隔でこのようなイベントを企画していたのだ。 「新宿MARZ」は、客席が2階構造になっているだけでなく、楽屋等も充実した素晴らしいライブハウスだ。そして、この日は20分という短い演奏時間ではあったが、新曲を2曲披露することができた上に、2階席からのアングルを含め非常にレベルの高い画像を多数得ることができたのである。おかげで、LOOSE CONNECTIONを紹介する印刷物の画像は、ほとんどこの時のものを使用している。
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date: 2005.10.9(日) place: 「新宿MARZ」 1, BREAK ON THROUGH(THE DOORS/初演) 2, REAL LOVE?(オリジナル/新曲) 3, I'VE GOT A FEVER(オリジナル) 4, 黒猫(オリジナル) | | | |
「BREAK ON THROUGH」はドアーズの曲だが、ZEP風のアレンジを施しほとんど原型をとどめていない。こういうアレンジが簡単にできるようになったことからも、バンドの音が確立されたことを実感できるのだった。 「REAL LOVE?」は「I'VE GOT A FEVER」に続く、ITOによるオリジナル曲の第2弾である。例によって、彼はベースラインしか考えていなかった…。そこで俺はこの曲を、テンションをふんだんにかました、変則的なコードで埋め尽くした。そのせいか、どの会場でもこの曲を演奏すると、前の方にいる観客の目は俺の指板を押さえる左手に集まってきた。「何っ?このコードは?」…みんなの目はそう語っていた。
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↑俺とSHIBAは「BUONA GIORNATA」というブランドの服がお気に入り | ↑ITOは2004年の後半からバッカスのアップベースを弾くようになった | |
そして、軽い準備運動さながらの「新宿MARZ」の1ヶ月後、「四ッ谷LIVE GATE TOKYO」がやって来た。 「四ッ谷LIVE GATE TOKYO」では定期的に、アマチュアバンドのためのイベント『LIVE SHOWER』が開催されていた。俺はネットでこのイベントを見つけ、一度参加する機会を狙っていた。 そして、遂にそのチャンスが訪れたというわけだ。 出演順はあえてトップを選んだ。リハーサルのまま、完全に自分達のためにセットされた機材。そして、オープニング曲まで自分達で選曲できるという、イベントの中において完全に自分達の世界を演出できる位置。それにはトップが最適だった。 モグワイの「HUNTED BY A FREAK」をバックに登場したLOOSE CONNECTIONは、この夜このメンバーによる最高の演奏をきわめてクールにキメた。
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date: 2005.11.12(土) place: 「四ッ谷LIVE GATE TOKYO」 1, HELTER SKELTER(THE BEATLES) 2, 黒猫(オリジナル) 3, ALICE(オリジナル/新曲) 4, REAL LOVE?(オリジナル) 5, I'VE GOT A FEVER(オリジナル) 6, LIGHT MY FIRE ~BREAK ON THROUGH(THE DOORS) | | 「HUNTED BY A FREAK」にかぶるギターのフィードバックに導かれる、ヘヴィな「HELTER SKELTER」、そして一転してアップテンポの「黒猫」。 この日初演の「ALICE」は、「REAL LOVE?」と同時期にできあがったオリジナル曲であり、7月の「船橋宮本公民館」のリハーサルですでに演奏されていた曲。1つのベースパターンに2つのコードだけで構成されているこの曲は、まさに“ロキシー・ミュージック+レッド・ツェッペリン”と言われたLOOSE CONNECTIONサウンドを象徴している。 前回の「新宿MARZ」でオープニングに使われた「BREAK ON THROUGH」は今回、ボサノヴァ調にアレンジされた「LIGHT MY FIRE」に導かれるという、ちょっと小粋な演出を試みた。 青中心の照明によって、静かなる内面の狂気を暴発させたようなイメージはより誇張され、SHIBAやんの外人の友人が表現した“The coolest band in TOKYO” そのものだった、この夜のLOOSE CONNECTION。それは、ひとつの完成型を提示したと同時に、バンドの限界をも提示してしまったことを、その後になって俺は思い知ることになった。 | |
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そして、 2005年の締めくくりは恒例の、4回目の出演になる、『吉祥寺・曼陀羅2(中央大学軽音楽同好会OB・忘年会)』であった。 ここで、俺はまたもや先月の「四ッ谷LIVE GATE TOKYO」の再現を企んだ。 しかし、結果は…?
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date: 2005.12.10(土) place: 「吉祥寺 曼陀羅2」 1, LIGHT MY FIRE ~ BREAK ON THROUGH(THE DOORS) 2, SATIN DOLL(オリジナル) 3, ALICE(オリジナル) 4, REAL LOVE?(オリジナル) 5, I'VE GOT A FEVER(オリジナル) 6, REBEL REBEL(DAVID BOWIE) 7, HEROES(DAVID BOWIE) 8, ZIGGY STARDUST(DAVID BOWIE) | | |
この年は出演希望者が少なく、40分程度の長い出演時間が与えられた。 そこで、後半にデヴィッド・ボウイのカヴァーを並べ、イベントの趣旨である“忘年会”を盛り上げようとしたのだ。 しかし、これがこの夜のすべてを象徴している。 「四ッ谷LIVE GATE TOKYO」のクールさの再現を目論むメンバーと、“忘年会”ならではの盛り上がりを期待するメンバーの対立。あくまでこの路線を追求すべきだろいう硬派な意見と、バンドのさまざまな可能性を試したいという柔軟な意見の対立…。 結果的に、散漫で、何やらまとまりに欠けるステージになってしまった。 実はこの時期、 バンド内部にはかなり深い亀裂が生じていたのである。 バンドは完成型を示した瞬間、崩壊の一途をたどるのか? “俺の求めている感じ”…、つまり、得体の知れない悪意や孤立感を、緊迫感あふれるサウンドで表現することは、演奏者をこれほどまでギリギリの状況へ追い詰めてしまうのだろうか? LOOSE CONNECTIONはここで終わるのか? 俺は、意外な手段でこの状況から脱出することを試みた…。 | | |
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| ↑この夜の俺はバッカスのフライングVを持ってステージに現れた | |
BACK | 撮影:POCHI(10/9、12/10)、高橋よしあき(10/9)、ITO夫人(11/12)「THANKS」 | | |
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